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2011.02.15

コンヴィチュニーの『サロメ』を観るために: 序

先日、二期会『サロメ』の通し稽古1回目のあと、Twitterにこんな3つのツイートをしました。


読み替え演出にも色々ある。ただ単に時代や場所の設定を変えたものから、観念の世界に踏み込んで言葉の意味を何重もの次元で読み取らないといけないようなものまで。後者はともすれば、見えるものと聞こえるものの乖離から「真実を伝えているのはどの次元だろう」というオーバーフロー に観衆を誘う。


二期会『サロメ』のコンヴィチュニー演出は一見奇矯にも見えるのだろうが、よく吟味すると恐らく全ての台詞(歌詩)がそ の歌われている意味のままの意味で活かされている。「あ、ここではそういう意味なのか!」と思わされることはあるにしても。非常に誠実な仕事であると言え る。


なので、過去ツイートで「観に来るかたはこの演出について何らかの予習を」的なことを書いたが、それはそれでありだと思 うので訂正しないけれども、【通常の『サロメ』をできるだけ読み込んで自分の物にして(できれば字幕が要らないほど)、かつその表層を絶対視しない心で行 く】が本当はよいのかも。


これらは今の正直な気持ちであって、特に、既に『サロメ』をよくご存じのかたはもうそのまま何の予備知識もなく劇場に来ていただくのがベストなのだろう、と思います。

ただ、今回が『サロメ』初鑑賞になるかたがいきなり今回の演出での上演を観たら面食らうかもしれないし、そうでないかたも1回の鑑賞では全てを受け止められないかもしれない、というのもまた確か。
そのような体験をするのもまた一興かもしれませんが、どうせならできるだけ多く受け止めたい、という場合

 ・『サロメ』の台本を読み込む and/or オーソドックスな公演で「予習」をする
 ・今回の演出の傾向を少し知っておく

の二通りの準備の仕方があるかと考えます。

ここではこれから数項に渡って、それらの、特に後者の手引きになるようなことが書ければ、と思います。
読むことが鑑賞に必須、というわけではないので、ご興味のあるかただけお読みいただければ幸いです。

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